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広尾の閑静な住宅街に佇む中華レストラン「茶禅華」は、元大使館員の住まいであった民家を改装し、わずか12席と個室2部屋のみで構成された、ラグジュアリーかつ落ち着いたダイニングだ。コンセプトは「和魂漢才」。これは平安時代中期に生まれた日本の思想上の言葉である。中国料理と日本料理の第一線で研鑽を積んだ料理長が、中国料理の大胆な「旨さ」、そして日本料理の滋味深い「美味しさ」の双方を引き出せるような新しい中国料理を、日本の食材、風土嗜好に合わせて提供する。
空間デザインを手掛ける立場として、この「和魂漢才」をどう表現すべきかというのが当初の課題であった。竹林に囲まれた外観を抜け、エントランスまで進むと、店名の由来でもある中国茶器のディスプレイと柔らかい光がゲストを出迎え、ダイニングエリアへと続く。店内は風合いのある漆喰、温かみのあるウォールナットの木、モルタルの壁など、極めてミニマムで質の高い素材を選定した。そこに照明計画による光と影、また、さり気ないディテールが加わることで、それらがより洗練された空間が生まれる。ティーカウンターとディスプレイの壁面には、この店を表現する風景となるように、中国の思想に基づいたフォルムを用いた。
我々が出した結論は、思想は空間だけで完結するのではなく、明確に形にすべきものでもないということ。空間がつくられた段階では未完成であり、そこに洗練された料理が並び、ハイエンドなおもてなしが一体となることで、ようやく見えてくるものなのかもしれないということだ。是非この店で「和魂漢才」の素晴らしさに魅了されてほしい。(藤本 泰士/DESIGN STUDIO CROW)

 

 

「茶禅華」
所在地:東京都港区南麻布4-7-5
オープン:2017年2月10日
床面積:180㎡
客席数:24席
Photo:長谷川 健太

 

 

株式会社DESIGN STUDIO CROW
藤本 泰士
1983年愛知県生まれ。10代から三重県に移り工務店に就職。現場作業員として様々な経験を積む。その後、名古屋のデザイン学校を卒業後、上京して2005年から株式会社スーパーポテトに勤務。2009年からハーシュ・ベドナー アソシエイツ(HBA) 東京オフィスに勤務。その他2社のデザイン事務所勤務を経て、2013年にDESIGN STUDIO CROW設立。現在は全国各地のホテルプロジェクトや高級業態の飲食店など、多くの商業空間を中心に手掛けている。